仙腸関節性腰痛

原因のわからない「腰の痛み」、椅子に座った際のお尻の痛みは仙腸関節性腰痛が疑われます。

レントゲン等では診断が困難な事から、ただの「腰の痛み」、あるいは原因不明と診断されるケースが目立ちます。

こちらでは、仙腸関節性腰痛とはどのような症状なのか、と原因、治療法について解説したいと思います。

仙腸関節性腰痛の症状

赤の部分を押すと鋭い痛み。

仙腸関節性腰痛では、赤の部分に痛みがあります。

骨盤の後ろや片側の臀部、下肢の痛みや違和感が仙腸関節性腰痛の主な症状です。

鈍い痛み、患部に重いようなだるさを感じるという方も多いようです。

患者さんが訴える、具体的な症状には次のようなものがあります。

  1. 痛みで長時間椅子に座ることが出来ないが、正座は問題がない
  2. 仰向きに寝られない。痛みのある側を下にして寝られない
  3. 歩き始めや、動きだしに痛みを感じるも、徐々に落ち着く

また、「腰の痛み」や違和感が仙腸関節の周囲だけでなく、お尻や鼠径部・股関節など、周りへ広がっていくという点も特徴的です。
一般的に、股関節痛や仙骨の痛みがある場合は、仙腸関節性腰痛が悪化した状態と言われています。

仙腸関節と関連痛

仙腸関節の機能障害の影響が腰以外の関節にも及び、身体の様々な部位に痛みやしびれが起きる場合があります。
関連痛は、次のような関節に起こりやすいと言われています。

  1. 椎間関節(首から腰にかけての背骨の間の関節)
  2. 肋椎関節(背骨と肋骨の間)
  3. 足首から足の指にかけての関節

例えば、患者さんの首や膝、足指の痛みが仙腸関節の要因である場合は、原因は患部ではなく仙腸関節の機能障害にあります。

よって、多くの場合、仙腸関節の治療を行うことで、腰から離れた首や膝、足指の痛みについても改善が見られる場合があります。

「腰の痛み」と仙腸関節の関係

骨盤の真ん中にある仙骨を挟んで、その左右にあるのが腸骨です。
これらを後ろ(お尻)側で繋げているのが、仙腸関節になります。

仙腸関節は、背骨の根元に位置しており、身体の中心である骨盤をしっかり安定させる役割をしています。

周囲は仙腸靭帯によって強力に固定されているため、大きな動きは出来ません。
しかし、日常の動作の際に、股関節の動きと連動して、腸骨が前後に傾く・外側に開く・内側に閉じるなど、仙骨が身体のバランスを取る働きをしています。

その動きは3〜5ミリ程度とごく小さなもので、レントゲンなどの画像診断は難しいと言われています。

仙腸関節

こうした仙腸関節の機能障害は、「腰の痛み」、あるいは臀部・下肢の痛み、しびれなどが生じる要因になると考えられます。

仙腸関節痛とはどんな病気?

仙腸関節性腰痛とは、何だかの原因によって仙腸関節に炎症や、ずれが生じることで痛みが起こる疾患です。

その他にも、仙腸靭帯の損傷や、靭帯・関節包などの周辺組織が伸びてしまう障害が起き、仙腸関節の周囲に疼痛を生じる場合もあります。

腰椎などに器質的な問題がある場合を除くと、腰痛の原因の大半は、仙腸関節の機能障害であるとも言われています。

これまで、椎間板ヘルニアや変形性関節症、分離症、すべり症と診断されていた患者さんの「腰の痛み」も、実は仙腸関節の不具合がきっかけであるケースが多いと言われます。

仙腸関節性腰痛の原因

仙腸関節は骨盤を安定させる働きをしています。

骨盤に歪みやずれなどが起こり、仙腸関節に障害が起こると身体のバランスを保てなくなります。
すると、上半身の関節にもその影響が及び、歪みが生じることで仙腸関節性腰痛を発症します。

骨盤の歪みやずれの原因は、出産、加齢による骨・関節の老化、腰をねじるなどした際の仙腸関節への負担などが考えられています。

当院の臨床では足の歪み、特に腓骨の歪みが仙腸関節の障害に関係しているように思えます。腓骨の歪みを調整することで、80%の患者さんが改善しております。

仙腸関節に負担の掛かりやすい動作には次のようなものがあります。

  1. 前かがみや中腰、反り腰の姿勢を頻繁に行う
  2. 片脚に荷重負荷をかける姿勢が多い
  3. 日常的に長時間自転車に乗る
  4. 体育座りをする習慣がある
  5. 妊娠・出産期の女性

ぎっくり腰やヘルニアとの関連

急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)の発症原因の一つに、仙腸関節の捻挫が挙げられます。

また、ねじれが状態が続くことで慢性の「腰の痛み」を誘因するとされています。
さらに、ぎっくり腰・ヘルニア・坐骨神経痛を患った経験がある、あるいは現在そうした症状がある方は、仙腸関節性腰痛の発症リスクが高まります。

仙腸関節と背骨が身体のバランスをとり、腰に掛かる負担を軽減しているわけですが、痛みをかばう動作を続けることでバランスが崩れ、衝撃を十分吸収することが出来なくなります。
クッション機能が低下することで、仙腸関節の機能障害を起こしやすくなるのです。

仙腸関節痛の徒手検査とレントゲン

仙腸関節痛の診断に有効な方法は徒手検査です。
というのも、ごく小さな動きをする仙腸関節の機能障害を、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査で判断するのは難しいためです。

そこで、人の手によって行われる徒手検査(理学検査)が行われます。
徒手検査とは、患部を動かしたり伸ばす、押す・叩くなどして痛みの有無や強弱、神経的な症状など反応をチェックする方法です。

仙腸関節痛の診断には、痛みのある場所を患者さん自身が指で指し示す方法(ワンフィンガーテスト)や、仙腸関節を動かしたり、力を加えて痛みがあるかどうかを調べるテストが行われるようです。

病院で行われる治療(骨盤ベルト・ブロック注射)

整形外科では、痛みの緩和を目的とした保存療法を中心に治療が行われるようです。

また、骨盤ベルトやコルセット・テーピングを用いて患部を固定し負担を軽減することは、痛みを和らげるのに有効です。

こうした方法で痛みが改善しない場合には、患部(仙腸関節や靭帯)に局所麻酔薬を注射する神経ブロック注射が行われることがあります。

保存的な治療でも、痛みが強く日常生活に不自由がある時には、仙腸関節固定術と呼ばれる手術が行われることがあるようです。

カイロ・整体で痛みが改善

仙腸関節性腰痛の症状を和らげるのに、カイロプラクティックや整体治療も有効です。

仙腸関節(骨盤)の歪みやゆるみを調整・矯正を行うことで、不安定だった骨盤を安定させて仙腸関節性腰痛を改善していきます。

また、「腰の痛み」が別の疾患の症状である場合も考えられますので、痛みなどが見られた場合、まずは整形外科等を受診し、内科的な疾患や骨折などの怪我がないか確認した上で、こうした治療を受けるようにしましょう。

仙腸関節性腰痛に効くストレッチ・体操

ご自身で行える効果的な対処法にストレッチや体操があります。
仙腸関節をゆるめるストレッチや、周囲の筋肉をほぐすことで痛みが改善し、楽になると言われています。

特に、産後にお尻の骨(仙骨)が当たって痛みがあり仰向けで寝られない、方にはストレッチが有効です。

仙腸関節の矯正に効く体操を一つご紹介します。
用意するものはテニスボール(硬式)2つ。
これを横並びにして、ボールが動かないようにテープ等でしっかりと固定をします。
これを床に置き、仙腸関節の位置にこのボールが来るように仰向けで寝ます。
仙腸関節がほどよく刺激されているような感じがしたら、そのまま1分ほど待ちます。
長くても3分にとどめ、朝晩一回ずつ行いましょう。

仙腸関節性腰痛のまとめ

レントゲンなどでは写りにくく、時に原因不明の「腰の痛み」と診断されてしまう場合もある仙腸関節性腰痛。

仙腸関節のずれなどの不具合は、腰だけでなく身体の様々な関節の痛みに繋がります。
腰にだるさや疲れ、張りなどの違和感を感じたり、軽度の痛みがある場合は、仙腸関節の問題の可能性があります。

発症リスクの高い、妊娠・出産を経験した女性はもちろん、年齢や性別を問わず、こうした小さなサインを見逃さないことが大切です。

また、日頃から腰に負担の少ない生活を心掛け、仙腸関節・骨盤周りのストレッチなどを行うことで、予防効果に期待が持てますので、積極的に取り組むと良いでしょう。